唐門の龍は最も現代的?
ど派手で「盛りすぎ」な陽明門に比べ、唐門はシックでアートしています。
胡粉(貝の殻を砕いて粉にしたもの)塗りの白と漆の黒を基調にして、龍などもデフォルメされてかっこいいですね。
現代アートかと思うような龍。陽明門とのテイストの違いが歴然
どこが顔だか分からない
柱に別の木で作られた昇り龍・降り龍
巣父の牛はかわいそう
唐門は陽明門に比べるとスッキリして見えますが、実は彫刻の数は611もあり、陽明門の508より多いそうです。中国の故事にまつわる人物像が多いのも特徴。
動物絡みでひとつ紹介すると、唐破風(からはぶ)にある「許由(きょゆう)巣父(そうほ)図」の右側(巣父のほう)に牛が描かれています。
許由も巣父も古代中国の伝説的高士で、権力から遠ざかった清廉潔白な生き方をした人物とされています。
あるとき、皇帝・堯帝が、許由の人格に惚れ込み、許由に天子の位を譲ると申し出たところ、許由は「その申し出を聞いただけで耳が汚れた」と言って、川の流れで耳を洗ったとか。
このとき、巣父は川下で自分の牛に水を飲ませようとしていたのですが、上流で許由が「耳が汚れた」と言って耳を洗ったことを知り、「汚れた耳を洗った汚れた水を自分の牛に飲ませるわけにはいかぬ」と、水を飲もうとする牛を引っ張って立ち去った、というのです。
そんな故事を描いた図ですが、牛はとんだ迷惑というか、とばっちりを受けてなんともかわいそうですね。牛に水を飲ませない人物のどこが聖人君子なんでしょう。
水を飲もうとする牛を引っ張る巣父
これはオマケ。日航のマークみたい。どこにあるか探してみてね