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23. be動詞以外の文での補語


郷センセ郷センセ:  今日も生徒は凡太か。
今日は「補語」について話すよ。
A = B の「イコール」の働きをするbe動詞の文では、be動詞の後にくる名詞や形容詞を「補語」と呼ぶ、って話を前にしたよね。
補語は目的語とは違うよ、ともいったけど、どういう風に違うんだっけ?
凡太 主語とイコールの関係になるのが補語で、イコールにはならないのが目的語……でしたっけ?

そだね~。
Pochi is an old dog.
の Pochi と an old dog はイコールの関係だけど、
Pochi likes fish.
の fish は、Pochi とイコールの関係にはならないね。

で、今日はこの「補語」を、be動詞以外の動詞でも使うことがあるという話をするよ。

How are you? ってきかれて、「元気だよ」って答えるとき、なんていった?
凡太 I'm fine, thank you.
って答えます。

うん。まあ、そうだね。fine っていう形容詞をよく使うよね。
I am fine.
これは典型的な A = B の関係の、be動詞の文だ。だから、fine は「補語」だね。
これを同じような文で、
「きみ、元気そうだね」というとき、
You look fine.
なんていう。
この look は「見る」じゃなくて、「~のように見える」という意味の動詞だ。
で、よく見てみると、この look の後ろにはいきなり fine という形容詞がきているよね。
You are fine.
っていう文と同じ形だ。
この You look fine. の fine も「補語」なんだ。
you = fine の関係だからね。

こんな風に、be動詞以外でも補語をとる動詞というのがある。
いくつか例を挙げると……、

He looks old for his age.
(彼は歳の割りに老けて見える。)

Hanako seemed busy.
(ハナコは忙しそうだった。) ※ seem は「~らしい」「~に見える」

Tama feels smooth.
(タマは肌触りが滑らかだ。) ※ヘビだからねえ……

They go naked in the island.
(その島の人たちは裸で暮らしている。)

He bacame a very rich man.
(彼は大金持ちになった。)


……まだまだいっぱいあるけど、こういうのは特に英語的な表現ともいえる。go naked なんて特にそうだね。
だから、文法的に考えるというよりは、表現として覚えてしまったほうが早いだろうな。

英文の基本5文型

さてと、ここで改めて文の要素というのを振り返ってみよう。

いちばん最初にやったのは、
We can run fast.
だっけ?
凡太 そうです。

この文は、
主語(We)+助動詞(can)+動詞(run)+副詞(fast). という構成だ。
この中で、助動詞と副詞はなくても文の基本構造は成立するよね。
We run.(俺たちは走る)
これだけで文になる。
でも、We も run も、なくなると文が成立しない。
言い換えると、文の要素には、なくても文が成立するものと、なくてはならないものがあるわけだ。
まずは「主語」と「動詞」は必要な要素だってことが分かるね?
凡太はい。

次に「目的語」というのをやったね。
Pochi likes fish. の fish は likes の目的語だ。
この fish も、なくなると文が成立しない。
Pochi likes. だけではなんのことだか分からないだろ。
だから、「目的語」も、なくなると文が成立しない。

主語、動詞、目的語……と、これでその文の基本的な構成上取り除けない要素が3つ出てきたわけだけど、補語もそうだ。
Pochi is an old dog.
の old は取っ払っても、
Pochi is a dog.
で文が成立するけれど、a dog を取ってしまったらこの文は成立しなくなるよね。
というわけで、これで、
主語、動詞、目的語、補語 という、文の構成要素として省けない4つの基本要素があることが分かったわけだ。
この4つを英語でいうと、

ってなる。
この英語の頭文字をとって、S、V、O、C というアルファベットで4つの要素をいうようになってる。

この他の要素、例えば、副詞とか、補語以外の形容詞などの部分は、主語、動詞、目的語、補語のうちのどれかを説明していたり、働きを補完していたりする要素なので、取っ払っても文の骨格は残る。
例えば、

Hanako's father was going home by Shinkansen after a business trip to Nagoya.
(ハナコの父は名古屋への出張を終え新幹線で帰宅するところだった。)

という文。
この文の主要要素はなんだ?
凡太 主語、動詞、目的語、補語が主要要素ですよね。
主語は……Hanako's fatherで、動詞は……。

was going home という部分だね。go という動詞を過去進行形にしているわけだけど、go home はひとまとまりで考えたほうがいいから、この文は結局、
Hanako's father was going home.
っていう文に、by Shinkansen(新幹線で)と after a business trip to Nagoya(名古屋への出張の後に)という2つの副詞句がくっついている文だ。by Shinkansen も after a business trip to Nagoya も取っ払ってしまっても文の構造は壊れない。
こういう修飾的な働きをしている語句のことを英語では modifier っていうんで、参考書や塾なんかでは、S、V、O、C の4要素以外の部分を M って表していることもある。この M は要するに取っ払っても文の基本構造には影響を及ぼさないから無視していいよ、ってことだ。

で、この「Hanako's father was going home ~」っていう文はやや長いけど、修飾語句(M)を取っ払ってしまえば、主語+動詞(S+V) という、いちばんシンプルな構造の文ってことになる。

こんな風に、英文の基本構造を、主語・動詞・目的語・補語の4つの要素だけを見て分類していくと、すべての英文は5つの文型に分類できるんだ。
その5つの文型というのは、
  • S+V
  • S+V+C
  • S+V+O
  • S+V+O+O
  • S+V+O+C
……の5つだ。
これを英語の基本5文型っていうんだ。
この5文型のうち、SVOO(動詞の後に目的語が2つつく) と SVOC(動詞の後に目的語と補語がつく) についてはまだ教えてないので、今の段階ではSV、SVC、SVO の3つの文型だけやったことになる。
ものすごく単純な例をあげれば、

  1. He went home by Shinkansen.
    S  V 

  2. He will be a good teacher.
    S   V     C

  3. He was washing his car with her wife .
    S    V    O

……って感じかな。
色分けした部分がそれぞれ「主語」「動詞」「目的語」「補語」の要素のかたまりで、太字の部分がその要素を作っている大元の語だね。
凡太 う~~ん……。

難しいかな。
すぐに理解できなくてもいいよ。でも、これから先、あらゆる英文に対して、この S、V、O、C という4つの要素がどれかということを考える癖をつけてほしいんだよ。
どんどん長くて複雑な文章が出てくるからね。それを単語の意味だけで解釈しようなんて思っても無理だ。文の構造を見抜く癖をつける、ってことがすごく重要になる。
俺たち日本語を日常語にしている人間は、いちいち日本語を、文の構造はどうなっているかなんて考えないで喋ったり聞いたりしているけれど、それは赤ん坊の時から日本語の社会で暮らしてきたから、理屈より先に感覚で頭の中に叩き込まれた結果だ。
でも、そういう覚え方ができるのは子供のときだけ、あるいは、毎日その言語の中で暮らしている環境じゃないと難しい。中学生くらいになってしまうと、感覚で新しい言語を使えるようになるというのはほとんど無理だ。
だから、面倒なようでも、こうやって一つ一つその言語のルールを覚えて、そのルールを頼りに文を作ったり読み解いたりするしかない。
凡太 しくしく……。

泣くな。笑え。
パズルを解くみたいで楽しいなあ、って思えよ。苦行だ、って思ったら、どんどん辛くなって、投げ出してしまうだけだぞ。
でも、これからの時代、英語が分からなければものすごく惨めな人生になる。
別に外国人と楽しく喋ったりしなくてもいい。極端な話、一生、一人の外国人と直接会話なんかしないかもしれない。でも、英語でメールのやりとりしたり、WEBの情報を読んだりすることは絶対に必要になる。それができないと、仕事や趣味の世界がものすごく小さな世界に限定されてしまうからね。
例えば、将来就職しても、その職場でパワハラにあってやめたくなるかもしれない。職場で身につけた技術と知識を元に、俺ならもっとうまく商売ができると確信して独立を決意する……。
そのとき、英語が読み書きできるのとできないのとでは、成功確率が大きく変わってくる。
中国から何かを輸入して、それを元に商売をするというアイデアがあったとする。でも、中国語なんてできない。どうしよう……と。
中国語ができなくても英語ができれば問題ない。しっかり仕事ができる優秀な中国人はみな英語ができるからね。
逆に、彼らから「なんだ、こいつ英語もできないのか」と思われたら信用されず、相手にされない。

……そういうことがいっぱい出てくるんだよ。
だからね。楽しく人生を生ききるために、楽しんで英語を学んでいくっきゃない。

よし。
ほんじゃ、今日はここまでだ。
目的語と補語の違い。使い方とかを、これから意識していこう、って話だ。
You see?
あ、この see は 「見える」 から転じて、understand や know に近い意味だ。
「分かったかい?」ってこと。
あ、もちろん文型は SV でいちばん単純な文だな。正しい語順は
Do you see?
だろうけど、会話だとこのくらいの内容は平叙文のままですませちゃうよね。

You see?
凡太 はい。
……あ、 I see...

そういうこった~。
Good boy!


今日のポイント


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