郷センセ:
今日も生徒は凡太か。
さてと、俺の特別講義もそろそろ終わりに近づいてきた。
もちろん、まだ教えていないことは山ほどあるんだけど、俺が教えても他の誰かが教えても同じようなことは、別に俺がやる必要はないし、すでに幹の部分は大方終わっているから、栄養を吸い上げる幹ができたら、あとの枝葉や、成長していく過程は、自力でできるはずだからね。
今日はもう、ほとんど雑談的に「前置詞」の話でもするかな。
前置詞は「前に置く」って書くけど、何の前かといえば……? なんだ?
そだね~。怖いね~、これは。アオダイショウなんかはよく木に登って枝に張り付いていたりするから、over my head(俺の頭上に)ってことがあるね~。あれは怖いね~。事前に見えていれば心構えができるけど、いきなり上を見たらいた、ってのは怖すぎるね~。
under は「~の下に」って訳されることが多いけど、これは over の逆だと思えばいい。
Tama was under the desk.
はいくらでもありえるね。
もう1つ、前置詞を使う上で絶対に意識しなければいけないことがある。
それは動詞の後ろにいきなり前置詞がくる場合だ。
これはその前の動詞が自動詞だっていう証拠になる。
- He bought a mansion.
(豪邸を買った)
- He lived in a mansion.
(豪邸に住んでいた)
mansion っていうのは、日本では多層階の集合住宅をさす言葉になっているけど、英語では本来は「豪邸」「でかくてゴージャスな家」って意味なんだな。
で、それはいいとして、上の 1 には前置詞がないけど、2 には前置詞 in があるね。
1 では、a mansion は bought の目的語で、SVO の文だけど、
2 では、a mansion は live の目的語ではない。in という前置詞がついているからだ。
in a mansion で「豪邸に」という
副詞句になっていて、live は目的語がないから自動詞だ。
自動詞なのか他動詞なのか、動詞のほうを常に意識することも、前置詞を使う上では大切なことなんだな。
これは形容詞的用法の不定詞を使うときなんかにも重要になる。
The house was too expensive to buy.
(その家は買うには高すぎた=高すぎて買えなかった)
という場合、the house は buy の目的語に相当するから、to buy をつけるだけでいいけれど、
The house was too big to live
in.
(その家は住むにはでかすぎた=あまりにもでかいので住む気がしない)
という場合、the house は live の目的語ではない(この文でのlive は自動詞なので the house を目的語にできない)ので、不定詞にしたときも in は必要になる。
まあ、実際の会話なんかでは省略しちゃうことが多々あるだろうけれど、本来は in が必要なんだよな。
前置詞が必要か否かということでは、arrive at と reach がよく試験問題になるね。
When will he arrive at the airport?
= When will he ( ) the airport?
なんて穴埋め問題ね。
答えは reach 。
arrive は「~に到着する」という場合、自動詞だから、at とか in(目的地が国など、広いエリアの場合は in も使う)という前置詞が必要だけど、reach は他動詞なので前置詞は使わない、という、これまたクイズみたいな問題。
似たようなのに、
- hear と listen to
- see と look at
- visit と call at(+場所)/in(+人)
なんかがある。
visit Kyoto とはいうけれど、visit
at Kyoto とはいわない。
そんなんで英語力を試験するなよ、っていいたいけど、試験問題の定番になってるから覚えるしかない。
ただ、
call on him は visit him とほぼ同じ意味(彼を訪ねる)だけど、call him といったら単に「彼を呼ぶ」という違う意味になってしまうから、こういうときの前置詞の有無はものすごく大切だね。
さらには、here、there、home みたいな、場所を表す「副詞」がつくと、自動詞でも前置詞は使わない、ということは重要。
○ Stay here!(ここにいろ)
× Stay
at here!
ただし「
ここから」みたいに、起点をいう場合は、
from here っていうことはある。
……とまあ、前置詞を覚えていく上で大切なこと、コツみたいなことを今回は説明したわけよ。
あとは自分でやんなさい。コツとか考え方を身につけた後は、自分でやっていけるだろ。
前置詞の解説なんて、今の時代ならネット上を検索すると、ていねいな解説をしてくれているサイトがごまんとある。そういうのを見てもいいし、とにかく、前置詞を含んだ英文(もちろん正しい英文に限るけど)に触れるたびに、前置詞の使い方と意味のニュアンスを吸収することだな。
OKかな?