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32. 接続詞と「節」

He was surprised to find a big snake in her room.
            句

He was surprised because he found a big snake in her room.
            節


郷センセ郷センセ:  今日も生徒は凡太か。
いよいよこの特別講義も最終回に近づいてきたぞ。
今日は、これからどんどんややこしい英文とつき合っていくことになる上で、ものすごく重要な考え方、というか、文章の分析方法について話すよ。
それは「(せつ)」と「()」というユニットについてだ。
ユニット、なんて、俺としては珍しく横文字使っちまったが、1つの文章の中にある「単語のまとまり」というようなことだな。

1つの「文」というのは、日本語なら「。(マル=句点)」がくるまでの単語の集まりだな。

俺は昨日、ハナコんちに行ったんだが、屋根の上には不細工な犬が寝てて、家の中にはでかいヘビがいてヤバかったわ~。なんだありゃ?

↑この「日本文」では、「俺は」から始まって「ヤバかったわ~。」と、最初の「。」がくるまでのひとつながりが「文」だ。
英文でも同じで、「.(ピリオド)」がくるまでの単語の集まりが1つの「文」だ。

I visited Hanako yesterday, and I saw a shabby dog sleeping on the roof, and was surprised to find a big snake in her house. What's that!?

↑この長い文は、and という接続詞で3つの文がただつながっているだけだから、実質は、
文A and 文B and 文C
で、3つの文を無理矢理1つの文にしたともいえるね。

A:I visited Hanako yesterday.
B:I saw a shabby dog sleeping on the roof.
C:I was surprised to find a big snake in her house.

この3つの文はどれがメイン(主)でどれがサブ(従)なのか分かるか?
凡太 分からないっす。

そだね~。どれがメインの文なのかなんて決められない。ただ and でつないだだけだもんな。
この and みたいな接続詞を、「等位(とうい)接続詞」っていうんだ。
「等位」というのは文字通り「同じくらい」ってことだな。A も B も、同じくらいの重みの文で、どっちがエライということはない、って意味だ。

副詞節と接続詞

さてと、今度は、
When I entered her room, I was so surprised to find a big snake on her desk.
(彼女の部屋に入ったとき、彼女の机の上にでかいヘビがいるのを見つけてぶっ飛んだ)

という文だとどうだろう。
これは、

A:I entered her room.
B:I was so surprized to find a big snake on her desk.

……という2つの文からできていて、Aの文には when (~のとき)という接続詞がついている。
このA と B では、どっちがメインでどっちがサブだといえるかな?
凡太 Bのほうがメインだと思います。

そだね~。
A の「彼女の部屋に入ったとき」という文は、その後に続く B の「でかいヘビを見つけてびっくらこいた」という内容の文を「それは彼女の部屋に入ったときのことだった」と説明しているにすぎない。あくまでもメインは「ヘビがいてぶったまげた」のほうだね。
で、この when も文と文を結ぶ働きなので「接続詞」なんだけど、さっきの and とは働きがだいぶ違うね。A と B を「同じくらい」の重みでつないでいるわけではない。前にある文Aは、もう1つの文Bを説明している。つまり主役は B で、A は B の家来みたいなもんだ。Bの文がAの文を「従えている」。
で、今、Aの「文」、Bの「文」といったけれど、1つの文の中にこうした主役の文とそれを説明している文がある場合、文ではなく「節」と呼ぶんだ。
ひとつの意味のまとまりを表す2語以上の語のユニットのことを「句」といったね。名詞句とか副詞句とかってやってきただろ。
それと同じことなんだけど、「節」は主語・動詞を含んでいて、文の構造を持っているユニットのことをいうんだな。
で、この文の場合、あくまでも主役は B の「ヘビがいてぶったまげた」のほうだから、Bのほうを主役の節ということで「主節」、Aのほうは主役のBを説明している「従」の関係だから「従属節」というんだな。

When I entered her room, I was so surprised to find a big snake on her desk.
    従属節                主節

さらには、この when I entered her room は、主節である I was so surprised to find ~ 全体を「それがいつのことか」という時間の説明をしている。
last night とかと同じ役割だから、副詞の働きといえるね。
だから、働きとしての呼び方は「副詞節」というんだな。

副詞節を作る接続詞というのは、when の他にもいろいろある。
「時」を表すものとしては、

なんかがある。when と while 以外は前置詞としての使い方もある。

  1. You should finish the work before it becomes dark.
  2. You should finish the work before dark.
(暗くなる前にその仕事を終えないといけない)
1 の before は接続詞、2 の before は前置詞だね。

あと、連語で、

なんてのもある。

で、when という接続詞は、従属節を導いている接続詞なので、「従属(じゅうぞく)接続詞」とか従位(じゅうい)接続詞なんて呼ぶ。

ここで注意したいのは、この手の「時」を表す従属接続詞がついた副詞節の中では、未来のことであっても現在形で表す、ってことだ。
「暗くなる前に」を、まだ暗くなっていないからといって、
before it will become dark
としてはダメなんだな。

ここまでOKかな?
凡太 なんかいっぱいありすぎて……。

じゃあ、後から何度でも読み直してくれ。
ここはさらに先に進ませてもらうよ。

副詞節を作る接続詞には、「時」を表す接続詞の他に、「理由」や「条件」を表す接続詞もある。

あたりを覚えておけばとりあえずはいいかな。
連語だと、
as long as (~である限り =条件)
もよく使う。
I couldn't move because there was a big snake on her desk.
(彼女の机の上にでかいヘビがいたので、俺は動けなかった)
主節 + 従属節

Though there was a big snake on her desk, Hanako was smiling.
(自分の机の上にでかいヘビがいるというのに、ハナコは笑っていた)
従属節 + 主節



凡太 She was smiling because she loved it. ……ですか?

おお! そういうことだな。
分かってるじゃん。

じゃあ、副詞節を作る接続詞はこんなところで、次行くぞ。

名詞節と接続詞

副詞節の次は名詞節だ。

「次に何をすればいいか分からない」というのを英語でどういったっけ?
凡太 「疑問詞+不定詞」ですね。
I don't know what to do next.
です。

すばらしいねえ。ちゃんと復習しているんだねえ。

で、「疑問詞+不定詞」は「~すべきか」という意味で名詞句になる、と説明したよな。
そこでだ、これを句ではなく節でいうとどうなるか……。

I don't know what I should do next.

っていうんだ。
この what I should do next というのは「主語+動詞」があるから「句」ではなく「節」だね。
で、what to do と同じで、know の目的語の働き、つまり名詞の働きをしているから「名詞節」だ。
そこまではいいとして、何か気がつかないか?
凡太 何か? ……分からないっす。

初心に戻ろうぜ。
語順が大事。ゴーじゅんじセンセの教えだろ?
what I should do という語順だよ。
「次に何をすべきだろうか」という疑問文だとどうなる?
凡太 What should I do next?
です。……あ……。

気がついたか。
そう。know の後は、疑問詞があっても疑問文の語順にはなってないんだな。
what should I do ではなくて、
what I should do となってる。
でも、考えてみればあたりまえだろ。これは疑問文ではないんだから。
「何をすべきか」←そのことを「分からない」 といっているんだから、否定文ではあっても疑問文じゃない。
だから、what should I do と助動詞を主語の前に出さず、
what I should do と、平叙文の語順にしているわけさ。
この what I should do next の部分は名詞節だな。
こういうのを「間接疑問文」っていったりする。
間接疑問文に対して、
What should I do next?
(私は何をすべきか?)
みたいに、直接たずねている(普通の)疑問文は「直接疑問文」っていう。

ここまでOK?
凡太 はい。おけ、っす。

じゃあ、同じような文型で、今度は、
「それをすべきかどうか分からない」 という場合はどうすればいいかな。
何をすべきか分からない」は、
I don't know what I should do.
だったけれど、今度は「すべきか否か」で、yes か no かを問題にしているわけだよね。だから、疑問詞は出てこない。
この場合は if という接続詞を使うんだ。

I don't know if I should do it (or not).

この if は「~かどうか」と、yes か no かを問う働きをしている。「もし~なら」と「条件/仮定」を表す接続詞の if とは別物だよ。
疑問詞を使った間接疑問と文型としては同じだから、一緒に覚えておこう。
ちなみに if と同じ働きをする接続詞で、whether というのもある。「天気」の weather とそっくりだけど、つづりは違うし、全然別物だから注意しような。whether は if に比べると堅苦しい感じになるから、会話などではもっぱら if を使っていればいい。

これもいいかな?
凡太 ……はい……頑張って、後で読み返します。

よっしゃ。
じゃあ、今度は、
「俺はハナコがヘビが好きだとは知らなかった」
というのを英語で言ってみよう。
まず、「俺はそれを知らなかった」ならどういう?
凡太 I didn't know it.
です。

うん。そだね~。
で、次に「ハナコはヘビが好きだ」は?
凡太 Hanako likes snakes.
です。

そだね~。こういうとき、ヘビという生きもの全般を指しているわけだから、snakes と、複数形にしたほうがいいね。
じゃあ、今の2つの文を1つに結べばいいわけだな。
I didn't know it.
  +
Hanako likes snakes.

最初の文の know の目的語になっている it の中身が、Hanako likes snakes. という文だと思えばいいね。
無理矢理くっつけると、
I didn't know Hanako likes snakes.
ってなる。
実はこれで正解なんだ。
↑この文は完全に正しい英文になってる。

I didn't know Hanako likes snakes.
       (know の目的語)

ただし、この文は本来使うべき接続詞を省略した言い方だ。
その省略されている接続詞というのが、that だ。

that は、その後に続く節(主語+動詞~)の内容をさして「~ということ」という名詞の意味にまとめる働きをする接続詞なんだ。

I didn't know that Hanako likes snakes.
       「~ということ」

この that は省略されることがよくある。だから、
I didn't know Hanako likes snakes.
は正しい英文、ってことになる。

じゃあ、これを否定疑問文にしてみようか。
「きみはハナコがヘビ好きってこと知らなかったの?」
ならどういえばいい?
凡太 Don't you know that Hanako likes snakes?

そだね~。それは現在の否定疑問文だけど、過去の時点において「知らなかったのか」ときくなら、
Didn't you know that Hanako likes snakes?
だね。
簡単だね。
ここまでOKかな?
凡太 はい。なんとか……おけ、っす。

時制の一致

じゃあ、ここでもう1つ大切なことをやるよ。
いっぺんに詰め込みすぎかなあ……。
まあいいや。後から何回でも、項目ごとに分けて読み返しなさいね。

えっと、今の文だと、「ハナコはヘビが好きだ」というのは、時制に関係のない事実だね。
だから、過去のことであっても、that の後は Hanako likes ~ と、現在形でもよかった。
でも、that 以下の内容が同じように過去の出来事だったらどうだろうね。

「俺はハナコがヘビを飼っていることを知らなかった」
というのを英文にするとどうなる?
凡太 I didn't know that Hanako has a snake.
……ではないんですか?

うん。ではないのよ。
正解は、
I didn't know that Hanako had a snake.
だ。
日本語では「ハナコがヘビを飼っているとは知らなかった」という言い方をするけれど、英語は時制に厳しい言語でね。過去のことは必ず過去形でいわなければいけないの。
もちろん、ハナコは今でもタマを飼っているんだろうけれど、そういうことではなくて、あくまでも「俺」がハナコの家を訪ねたときの話をしていて、その時点、つまり過去のある時点でハナコがヘビを「飼っていた」ということを「知らなかった」といっているわけだ。
こういうときは、ちゃんとthat 以下の節の動詞も過去形にしてやらないといけない。
これを「時制の一致」っていうんだ。
最初の、
I didn't know that Hanako likes snakes.
も、試験の問題として出題されているなら、
I didn't know that Hanako liked snakes.
と、that 以下も過去形にしておいたほうが「安全」だ。融通の利かない先生だと「時制が一致してない」っていって、ニコニコしながら×にするかもしれないから。
He didn't know that the plural form of 'carp' is 'carp'.
(彼は carp の複数形は carp だということを知らなかった。)
なんていう文なら、確実に is だけどね。だって、carp の複数形が carp だということは「事実」で、時制を超越しているから。

ともあれ、時制の一致は試験ではよく出るよ。三単現と同じように間違いやすいからね。試験ってのはそういう間違いやすいところを突いてくるからいやらしいね。
でも、時制の一致はとても大切なことで、英語の世界を知る上では必須の「感覚」といえるかな。

……と、ずいぶん長くなってしまったので、ここまでにしておこう。
今回は何回分も詰め込んだ感じがあるから、しっかり復習しておくようにね。
凡太 はい。

これも一応練習問題作っておくから、やってね。





今日のポイント


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